ハステロイ

材料の知識 - ハステロイ

ハステロイは、ステンレス材以上の耐食性、耐熱性が必要な場合に用いられる。主として、チャンバー(容器)内部のターゲットやヒーターその他核となる部分に使用されることが多い。場合によってはチャンバーそのものをハステロイを使用することもある。
そもそもハステロイとは、ヘインズ・インターナショナル(アメリカ)によって製造されていたものである。1982年に三菱金属(現-三菱マテリアル)にこの合金の製造ライセンスを提供し、2010年よりその子会社であるMMCスーパーアロイ株式会社がその一切を取り扱っている。
※弊社は、ヘインズ・インターナショナル及びMMCスーパーアロイ株式会社の材料共に材料調達可能です。ヘインズ社製は、国内代理店1社しか挟んでいないためスムーズな対応が可能です。(2013年5月より弊社取り扱い開始)

ハステロイC276合金

本合金は、他のハステロイ材同様接合性が良く、酸化環境下や還元環境下で優れた耐食性があります。

また、孔食や隙間腐食に対する優れた耐性を備えています。


<化学組成>

ハステロイC276成分表

ハステロイB合金

火星探査機バイキングのロケットノズルにも使用された。

ハステロイC合金

石油化学プラントや原子力プラント、医薬品の製造分野に使用されている。

月面探査機アポロにも使用されていた。

ハステロイX合金

ジェット機向けに使用されている。

ハステロイ合金の弱点

それは溶接後の耐食性の低下である。

ハステロイC-276合金は、そのジレンマへの答えを提供した。このような低炭素と低ケイ素レベルに生産された合金は、溶接部の熱影響ゾーンとそうでないベースメタル比較した際、前者も同じくらい優れた耐食性を持つことが可能になった。

1960年代より、航空機エンジンの設計者は、耐熱合金により高い性能を求めるようになり、そのニーズに答え、ヘインズ-188合金を開発。希土類のランタン(La)にクロム、タングステン、ニッケルとを合金化することにより、さらなる高温に耐えうる金属になった。F15戦闘機のエンジン部にも使用された。

高温合金のさらなる開発により、ハステロイXは、今日の後継X合金となり、ヘインズ-188は、ヘインズ-230合金にグレードアップ。これにより、優れた長期熱安定性と優れた加工性と高温強度と耐食性を兼ね備えた、ニッケル-クロム-タングステン-モリブデン合金となった。

さらに、耐食性が大幅に改善されたハステロイC-22合金が開発された。

これは、クロム、モリブデン、タングステンの組成を現在の組み合わせに微調整されたものである。これは、溶接部を含め、ハステロイC-276と比較すると歴然とした結果となっている。(メーカー公表済)

また、ハステロイGシリーズが開発され、ハステロイG-30が農薬業界で広く使用され、原子力分野、バイオ医薬品分野など多くの分野で使用されるようになっている。

そのほかに、新しいハステロイとしてB-3,C-2000、D-205,ヘインズ242、556、282、HR-120、HR160合金等が導入されている。